生徒が書こうとしない時、どうする?

生徒が書こうとしない時、どうする?

お稽古に来ても、なかなか練習しない生徒さんもいます。

声をかけても書かない。
声をかけずに見守っても、書かない。

そんな場面に困ったことはありませんか?

今日は、そんな書こうとしない生徒に
「書かせようとすること」をやめたきっかけをお話しします。

生徒に「書かせようとすること」をやめたきっかけ

当時、小学1年生の元気な男の子がいました。
その子はいつも、少し不機嫌そうな顔でお稽古に来ていました。

席に座っても、なかなか字を書こうとしません。

「少し休憩したらやろうね」と声をかけても、うまくいきません。

お絵かきを促したり、特別に硯で墨をすらせたりすれば
その場では楽しそうにするのですが、
字の練習となるとまた嫌そうな顔に戻ってしまう。

そんなことが何ヶ月か続き、その子が来る日になると
「今日も書いてくれないかもしれない」と少し憂うつに感じるようになってしまいました。

「一体どうしたら書いてくれるんだろう」
悩むうちに、あることに気づきました。

私は「ちゃんと書いてもらわないと困る」と思っていたのです。


ではなぜ困ると思っているかというと、
「保護者から、ちゃんとやってくれない教室だと思われたくない」
「教室の評判が下がってしまうしまうかもしれない」
そんな気持ちがあることに気づきました。

生徒のためというより、自分のために「ちゃんと書いてほしい」と思っていたのかもしれない。

そう気づいた時、思い切って決めました。

その子がやりたくないなら、やらなくていい。
その気持ちのままでいられる教室になろう、と。


正直に言うと、とても怖かったです。

本当に私が何も促さなかったらどうなるんだろう。
お金をいただいているのに。
見ている他の生徒はどう思うだろう。

いろいろな考えが頭に浮かびました。


それでもその日の1時間、
私は一切書かせようとせず、その子を見守りました。

そして、その子は
本当に1枚も書かず、家に帰りました。

「本当にこれでよかったんだろうか」と、とても不安でしたが

次のお稽古の時、その子の表情が少し変わっていました。


「書かないといけない」という見えない圧力がなくなったからかもしれません。

1時間ずっとでなくても、10分、20分、その時のペースで書いてくれるようになりました。


そしてお母さんとも相談して、お稽古の時間を1時間きっちり過ごさなくても

早く帰っても大丈夫という形にしました。


あれから数年。この子は今、小学6年生になります。

中学受験を控え忙しい中で、今も教室に通ってくれています。

うちの娘が学校でその子の書き初めを見て「◯◯は習字が上手いんだよ」と教えてくれました。


あの時、怖かったけれど、あの1時間を過ごしてよかったと思っています。


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