書道教室を始めた頃、
生徒との関わり方に悩むことがたくさんありました。
なかなか筆が進まない子。
声をかけても反応が薄い子。
「うまく書けない」と気持ちが止まってしまう子。
そんな姿を見るたびに、
「どう声をかけたらいいんだろう」
「どうしたらやる気を引き出せるんだろう」
と悩んでいました。
そんな時に保育士の知人に教えてもらったのが、
幼稚園教育要領をもとにした
「子どもが自ら意欲的に活動するための保育者の関わり方」
でした。
私は分かりやすく、
「子どものやる気を促す大人の5つの役割」
として捉えています。
今日は、この「大人の役割」についてご紹介したいと思います。
その5つの役割がこちらです。
(1)理解者
(2)共同作業者
(3)モデル
(4)援助者
(5)精神的に安定できる場づくり
私はこの話を聞いた時、自分が”指導者”の役割で
「どう教えるか」ばかり考えていたことに気づきました。
そしてこの5つの役割に沿って、
教室での関わり方を1つ1つ見直すことにしました。
(1)理解者
例えば、教室に来てもなかなか筆が進まない子がいた時には、
「今日学校何時間だったの?」「疲れるよねー」
「ちょっと休んでからやろう」
などと声をかけ、
まずはその子の気持ちと同じ目線に立ってから
お稽古を始めるようにしています。
(2)共同作業者
一緒に準備したり、一緒に筆を持ったり、
書く課題に対して「この字難しいよね」「こうするといいかも」と
どうしたらいいか一緒に考えて
上手に書けたら喜んで
”どうやらせるか” ではなく、共にこの作業を楽しむ気持ちで関わるようにしています。
(3)モデル
憧れ、「こうなりたい」と思うモデルとしての役割です。
私はこの役割を知ってから、
それまでお稽古時間外で準備していたお手本を、
生徒さんがいる時にあえて書くようになりました。
仕上がった文字だけでなく、
実際に真剣に書いている姿や、うまくいかず何度も書き直す姿も
その役割を果たすように感じたからです。
(4)援助者
お稽古中は、生徒が少しでも上達できるよう、
必要な援助をすることを意識しています。
例えば、
・筆が書きづらそうなら、合いそうな筆に交換する
・理論を知った方が良さそうなら、字典を開いて説明する
・なぞった方が感覚を掴めそうなら、お手本を用意する
など、
または逆に何も声をかけず、一人で集中する時間を見守ったり・・
今のその子に合った援助を考えながら関わっています。
(5)精神的に安心できる場づくり
緊張したり、「嫌だな」と感じる場所では、
なかなか自分の力を発揮できないものですよね。
だからこそ、生徒に安心して取り組んでもらえるように、
まずは私自身も安心して過ごせる、
居心地の良い空間づくりを意識しています。
この役割は、先の4つの役割の土台や前提となる
重要なものだと感じています。
この5つの役割を意識するようになってから、
私自身の考え方も少しずつ変わっていきました。
以前は、
「どうにかして書かせなければ」
「やる気にさせなければ」
と思っていたのですが、
今は、
子どもたちのために
“私には何ができるだろう”
と考えるようになりました。
もちろん、
それで子どもたちに
すぐに劇的な変化が起きるわけではありません。
一人ひとり、筆が進まない日もありますし、
気持ちが乗らない日もあります。
それでも、 子どもを無理に動かそうとするより、
安心できる空間の中で、
「やってみようかな」
「やってみたら楽しかった」 「できた」
「またやってみよう」
そんな気持ちを、時間をかけて
積み重ねていける場所でありたいと思っています。
教室運営に役立つ記事や、実際に行っている工夫を少しずつ追加しています。
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